メディカルモニターとは:臨床試験におけるリスクとベネフィットのバランスをとる極めて重要な役割

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臨床試験を成功裏に完了させ、医薬品の安全性、有効性および規制要件への適合性を担保するために、医薬品開発受託機関(CRO)は欠かせない存在です。そのCROでは、臨床試験における被験者の安全と福祉のみならず、試験結果の完全性と妥当性を担保する役割として、知識と経験のあるメディカルモニター(MM)の存在が極めて重要になります。ここでは、疾患領域に関する深い医学的専門知識を有するMMが、臨床試験におけるリスクとベネフィットのバランスを維持するために果たす重要な役割について考察します。

メディカルモニターの役割

MMは臨床試験チームの重要なメンバーとして医学的な観点から試験の監視や指導を行い、試験中の患者の安全を担保します。MMは通常、試験対象疾患の専門医がその役割を担います。MMは試験のリスクとベネフィットを評価し、開発中の医薬品の安全性と有効性について重要な洞察を提供します。MMは病理、治療方法および患者の管理方法について深い専門知識を持っており、正確で信頼性の高い臨床試験のプロトコルを設計することができます。さらにMMは試験結果の臨床的妥当性を評価し、試験データを患者治療の観点から解釈することができます。

MMは臨床試験が規制要件に従って実施されていることを確認し、さらに、試験参加者の安全と福祉を監視する責任を負います。MMは治験チーム、治験責任医師および治験依頼者間の架け橋として、オープンな対話を促進し、医学的観点に基づく実施方針を提示し、そして、得られた医療情報をすべての関係者に提供します。またMMは、効果的なコミュニケーションを促進し、治験チーム内でリスクとベネフィットに関する共通理解を深め、これにより、正しい情報に基づいた意思決定が確実に行われるようにします。

患者の安全確保

臨床試験では患者の安全が第一であるため、MMは被験者の安全性に注目し、重要な安全性シグナルを特定するという大切な役割を担います。最近行われたある調査によると、MMの37%が、一番怖いのは安全シグナルを見逃すことであると述べています1。臨床試験の立ち上げ段階において、MMは試験プロトコルを検討し、潜在リスクを評価し、そして、有害事象を管理するための安全対策を定めます。試験期間中、MMは治験責任医師、治験コーディネーターおよび治験依頼者と緊密に連携して、安全モニタリングを実施し、安全に関わる懸念事項があれば迅速に対処し、被験者の安全と福祉を確保します。

リスクとベネフィットのバランス評価

リスク・ベネフィットの評価は臨床試験を計画し、実施する上で非常に重要なプロセスです。MMは入手可能な科学的エビデンス、非臨床データ、初期臨床データおよびMM自身の医学的専門知識に基づいて、治験参加者が得る可能性のある潜在的ベネフィット・リスクの両方を評価します。MMは、疾患の重篤度、利用可能な代替治療法、効能などの要素を勘案し、リスクとベネフィットのバランスのとれた臨床試験のプロファイルを確立できるように必要なサポートを行います。

臨床試験のリスクとベネフィットバランスを効果的に均衡させるため、MMは統計解析やデータマイニングなど、様々な高度な技術を用いて潜在的な安全性上の懸念を特定し、それらのリスクを軽減します。さらに、治験責任医師やその他の関係者と密接に協力して、安全に関わる問題を最小限に抑え、そして、有害事象の発生を管理するための被験者のリスクマネジメント計画を策定することにより試験参加者を適切に保護します。

有害事象の早期発見・管理

臨床試験の実施中には、予期せぬ有害事象が発生することがあります。MMはこのような有害事象の早期発見、評価、管理の面で重要な役割を果たします。MMは自身の医学的知識に基づいて、参加者の安全を確保するため、試験の継続、計画の修正及び試験中止についての意思決定を行います。また、MMは安全審査委員会、治験責任医師および規制当局と協力して、有害事象の報告、分析および解釈を行います。

臨床試験においてMMを設定する主たるメリットの一つは、臨床試験データをリアルタイムにモニタリングできることです。このことにより、潜在する安全性の懸念を迅速に特定し、適切な措置を講じることができます。このことは、臨床試験の初期段階のように医薬品の安全性が確定しておらず、不確実性が高い状況において特に重要なポイントです。

前述のように、MMの一番の懸念事項は安全シグナルを見逃すことです。これはリスクベースモニタリング(RBM)に限った話ではありませんが、通常MMが懸念するほとんどの問題はRBMモデルにも当てはまります。現在、ほとんどのデータは症例報告書(CRF)の形で収集されます。現在のCRFのデータは治験実施施設からのソースデータの取り込みには便利ですが、安全性を解析する上では最適とは言えません。データは様々な形式でフォーマットされており、さらに、同じデータが複数箇所に存在する場合もあります。そのため、データが不正確であったり、あるいは、エラーを避けられない場合が多くあります。このような状況では、技術チームや統計専門家のサポートなしには、臨床的に意味のある傾向や異常値を迅速かつ正確に見つけることは困難です2

これまで、データの収集・分析方法としては EDCシステムやラボを使用して膨大な量の多種多様なデータを追跡する方法がとられてきましたが、このような方法では必要なデータを見逃してしまうことが多く、それが難点でした。そのため、最近では統計分析ソフト(場合によってはAI対応)を使用して、臨床試験データを分析する手法が用いられています。これらのソフトウェアは、安全性のレビューからリスク・ベネフィットのバランス評価まで、臨床試験の全体をカバーする包括的なツールとなっています。これらのツールの重要な機能の一つは、大規模なデータセットを迅速かつ容易に視覚化して分析する能力です。MMはこれらの情報を使用して潜在的な安全性の懸念や傾向を特定し、適切な措置を講じることができます。また、MMはこれらのツールを使用して、外れ値や欠損値などの異常データの検出などを含む、試験データの詳細な分析ができます。さらに、カスタムレポートを作成・視覚化するためのソフトウェアを使用して、MMは分析結果をより効果的に臨床研究者やその他の関係者に伝えることができます。

これらのメディカルモニタリング手法を国際共同治験に用いることについては、以下に示すようにいくつかの利点があります。

標準化: これらのツールは、データ解析及び視覚化のための標準プラットフォームを提供し、複数の治験施設や国をまたいで横断的に使用することを可能とします。このツールを使用することでデータ解析のエラーや不整合が減り、さらに、MMと臨床試験チームメンバー間の協力が容易になります。

カスタマイゼーション:カスタムグラフの作成や視覚化機能など、特定のニーズに合わせて分析結果をカスタマイズして表示するソフトウェアを利用できます。そのため、試験デザインやプロトコルに変更があった場合でも、それに柔軟かつ迅速に対応して分析を行い、新しい革新的な方法でデータを収集することができます。

統合: これらのソフトウェアは、臨床試験用の汎用ソフトウェアプラットフォームとの統合が可能です。これにより、データをプラットフォーム間でシームレスに転送でき、他のソフトウェアツールを効率的に活用できるようになります。

効率: ソフトウエアによるデータ分析の一元化と効率的ワークフロー、および、可視化により、臨床試験データの管理に要する時間とコストを削減できます。たとえば、安全プロファイルやKaplan-Meier曲線の作成作業やルーチンの解析作業を自動化することによって、MMはより多くの時間を複雑な分析業務に費やすことができます。

品質管理: 一部のソフトウェアは臨床試験中にデータの品質をモニターする機能を内蔵しています。これらのツールを使用してデータ中の外れ値やエラーを見つけることができ、その結果、データの修正や追跡調査が可能となります。

まとめ

上述の通り、MMは、開発中の医薬品の安全性と有効性に関する重要な洞察を提供する、臨床試験を実施する上での重要な役割を果たします。さらにMMは、様々な高度な技術を用いて臨床試験のリスクとベネフィットのバランスをとり、被験者の安全を確保し、そして、規制要件への医薬品の適合性を担保します。そのため、MMを設置し、最新ツールへの投資を惜しまないCROは、安全で効果的な医療製品の開発を目指す製薬企業やバイオテクノロジー企業のニーズを満たす、質の高い臨床試験サービスを提供することが可能となるのです。

筆者:
Diana Davydov, MD
Associate Medical Director & Medical Monitor - Linical Americas

参考文献:

  1. Medical Monitors Fear This The Most (clinicalleader.com)
  2. Perspect Clin Res.2019 Apr-Jun; 10(2): 57–61.

筆者注:本稿はAIを援用して執筆しました。

※本記事は英文で執筆された記事を翻訳したものです。

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